| |
 |
|
 |
| |
写真上/ベジまんじゅうは、肉が入っていないとは思えないほどのボリューム感
写真左下/まんじゅうの具を作る大鍋。この日は冷凍コーフーを調理中。
写真右下/蒸しパンを作るきっかけになったせいろ。現在は餅を作るときのみ使われている。 |
練馬区の閑静な住宅街の一角。広い畑に隣接した建物が加藤農園の工房だ。ふっくらとしてもちもちとした発芽玄米パンはここで生まれる。
加藤さんが発芽玄米を開発したのは、二十数年前。以来、発芽玄米を広く知ってもらうために、自家栽培の野菜で作ったお弁当や発芽玄米餅の製造販売をしていた。
パンを作るようになったのは二十年ほど前から。「発芽玄米を使ったパンはつくれないか」と考えたとき、玄米餅用に使っていたセイロがあったので、蒸しパンにすればいいのではないかと思ったのだとか。天然酵母のパンはすでにルヴァンなどの有名店があったので、同じように焼いたパンを作っても勝負はできないという考えも、蒸しパンというアイデアを後押しした。
そこでまず、天然酵母パンを使ったパンづくりの草分け的存在、矢野さき子氏に師事。作り方を学ぶところからスタートした。そのパン教室で、天然酵母で蒸しパンを作るのは非常に困難であることを知る。「もし先にそのことを知っていたら始めなかったと思う」と奥さん。
発芽玄米を加えることで、他にはないもっちりとしたパン生地になる。ところがこれは諸刃の剣で、粉と水との配合バランスが少しでも狂うと、もちもち感が行き過ぎてガチガチのパンになってしまったり、うまく発酵しなかったり。ずっと試行錯誤の繰り返しだった。
「砂糖を加えない」というこだわりもさらに生地作りを難しくしている。本来、生地に砂糖を加えれば発酵させることは簡単だからだ。実はパンづくりを習った教室でも砂糖を加えて発酵することをすすめられたが、そこは譲れなかった。「だって普通、ごはんに砂糖をかけて食べたりしないでしょ」と奥さん。加藤農園のパンはあくまで発芽玄米が主役なのだ。
 |
|
写真/加藤農園の加藤夫妻 |
|
完全ベジで動物性原料を使っていないのに、コクのある美味しいまんじゅうの具は、しいたけと野菜をたっぷり使っていることがポイント。これらの旨みで深みのあるコクを出している。さらにベジミートは、大根まんじゅうには小麦グルテン、キャベツ、茄子みそまんじゅうには大豆ミートというように、組み合わせる野菜によって使い分けるということからも、かなり研究をして完成した味だということが伺い知れる。
バリエーションの豊富さもファンにとって魅力のひとつだ。社長である旦那さんの「そろそろ次の新作を」という鶴の一声で、奥さんが自宅の台所に立ち、試行錯誤を繰り返しながら味を作っていく。そのレシピをもとに旦那さんが商品化するというコンビネーションで新しい味が生まれるのだとか。
理想的な小麦は現在、安定的な確保が難しく、仕入れる粉が代わるたびに、配合の割合を変え正解を探していくという作業が続く。加藤農園のパンがないと困るというファンも多いため、そんな困難にあっても努力と工夫で乗り越えてきた。ただただ美味しくて身体に良いパンを多くの人に供給したいという夫妻の熱い思いで今日もパンは作られ続けている。
(取材日…2009年10月8日)
加藤農園DATA
●酵母の種類……ホシノ天然酵母
●発芽玄米……秋田県大潟村のJAS認定
●玄米粉の種類……北海道産小麦
●水……浄水器を通して不純物を取り除いた井戸水
●塩……低温で加熱した伊豆大島の加藤農園オリジナル深層海塩
【人気のパンベスト3】
1位 発芽玄米パンよもぎ
2位 大根まんじゅう
3位 キャベツまんじゅう
|