コクや風味があって、粘りが強く、冷めてもおいしい「あきたこまち」。
そのお米を作るライスロッヂ大潟・黒瀬農舎代表の黒瀬正さんは、食の安全や環境に問題意識をもち、「ケミカルに頼らない農業を行うことが大切」という理念に根ざして、おいしくて安心なお米を作っている。こうした考えに共感する12軒の農家が、ライスロッヂ大潟を支えている。
秋田県大潟村は1964年、国の大規模な干拓事業により誕生し、全国から約580戸の入植者が移り住んだ場所だ。当時、大規模農業の先駆的な場所として注目を集めた。田んぼはかつての八郎潟の湖底そのもの。有機質が多く肥沃な土壌で、稲にとっては最高の土地だった。農業をやりたくて移り住んだ34年前、「(この土地で米作りが)できるかどうか、わからなかった」と、ぬかるみの激しい葦(アシ)が生い茂った広大な荒野を目の前にして、黒瀬さんは感じたという。
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